オプショナルスクリーニング
検査のご案内

オプショナルスクリーニングとは

すべての赤ちゃんを対象に公費負担で行われている
「新生児マス・スクリーニング」の対象疾患に含まれていない病気について、
赤ちゃんにその病気の可能性があるかどうかを調べる検査です。

日本で生まれた全ての赤ちゃんは、治療しないと命に係わる重い障がいが残る可能性のある生まれつきの病気について検査をします。これを新生児マス・スクリーニングといいます。対象疾患は先天代謝異常症を含む20疾患です。この検査は、厚生労働省の指導の下、各自治体が主体となり実施されている公的事業で、みなさんの費用負担はほとんどありません。
オプショナルスクリーニングは、新生児マス・スクリーニングの対象になっていない早期診断・早期治療が極めて有効な疾患について、あなたがオプションで選択できる有料の検査です。
オプショナルスクリーニング事業は、一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID)からアンジェスクリニカルリサーチラボラトリーへ、2025年4月に事業自体を継承し、運用していくこととなりました。

動画によるご案内
PDFファイルによるご案内

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早期発見・治療の重要性

出生後すぐのスクリーニング検査により、発症予防、早期治療につながる

ライソゾーム病のうちの一つに「ポンペ病」という疾患があります。ヒトの細胞の中の"ごみ処理工場"のような役割を果たす「ライソゾーム」の中の酵素が欠損する等により、細胞がうまく機能しなくなり発症する病気をまとめてライソゾーム病といいます。ポンペ病の中でも最も重症なタイプである「乳児型」では、心臓肥大や呼吸障害を生後数か月から発症し、人工呼吸器が必要になったり、心不全のため死に至ることがあります。

通常、無治療の場合、生後2歳までに約9割が死亡してしまいますが、新生児スクリーニング検査により、「ポンぺ病」と診断され、早期発見することで、発症予防・早期治療につながり、症状の進行を抑えることが期待できます。

早期発見・治療の重要性

オプショナルスクリーニングの
対象疾患

疾患名 どんな病気か 検査案内書
ムコ多糖症Ⅰ型※2 これらは、ライソゾーム病といわれる。
ライソゾーム病では酵素が先天的に⽋損しているため、⽼廃物の分解が滞り、(ムコ多糖やグリコーゲンなどの)中間代謝産物がライソゾーム内に蓄積して、様々な症状を引き起こす。
※ライソゾームは細胞内⼩器官の1つで、体内の⽼廃物を酵素の働きで分解する「⽣体のゴミ処理機」
視力低下、知的障害、⾻の変形、中⽿炎、精神運動発達遅滞、神経退⾏、閉塞性呼吸障害、⼼臓弁膜症など
ムコ多糖症Ⅱ型※2
ムコ多糖症ⅣA型
ムコ多糖症Ⅵ型
ムコ多糖症Ⅶ型
ファブリー病 小児期:
⼿⾜の痛み、発汗障害(汗をかきにくい)、発疹など
成人してから:
⼼臓や腎臓の機能障害、脳出⾎障害、聴覚低下など
ポンペ病※2 重篤な筋力低下
ゴーシェ病※3 肝臓や脾臓の肥大化、けいれん
骨の痛み、発達の遅れ、貧血、斜視
ニーマンピック病A/B型※3 筋力低下、発達障害(A型)、けいれん、手足のつっぱり、貧血、出血しやすい
クラッペ病※4 易刺激性、哺乳不良、発達の遅れ、麻痺、失明、難聴
副腎白質ジストロフィー(ALD) 細胞のなかのペルオキシソームにあるALDタンパク質が先天的にないことが原因で、脳と副腎に異常が起こる進⾏性・遺伝性の疾患 学習障害、⾏動異常、歩⾏障害、視⼒・聴⼒低下、⾊素沈着など
脊髄性筋萎縮症(SMA)※1 筋⾁の動きを調節するための運動神経が障害される遺伝性の病気。
脊髄にある神経細胞が変化または消失してしまうことが原因で、全⾝の運動機能が障害される
筋⼒低下
筋萎縮
歩⾏障害の症状があり、加齢とともに悪化する
重症複合免疫不全症(SCID)※1 免疫不全症(免疫が機能しない病気)のなかで最も重いタイプ。
⽣まれながらにして⾝体を守る重要な免疫細胞(T細胞)が作られず、出⽣早期から重い感染症に罹患する病気。
出⽣早期から肺炎、下痢、中⽿炎、⽪膚感染症など様々な感染症に罹患する
アデノシンデアミナーゼ欠損症 アデノシンデアミナーゼという酵素の機能が欠損していることで、細胞内に代謝物が蓄積して、免疫機能に重要なリンパ球が障害されることが原因で起こる免疫不全症。すべての重症複合免疫不全症のうち、15%を占めると考えられている 肺炎、下痢、体重増加不良、易感染性

<オプショナルスクリーニングの対象外となるケースについて>

  • ※12024年3月以降、特定の自治体では脊髄性筋萎縮症(SMA)と重症複合免疫不全症(SCID)が新生児マススクリーニング検査に関する実証事業として公費負担で検査を受けることができます。
  • ※22025年3月から、東京都の先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング検査)にムコ多糖症I・II型、ポンペ病の3疾患が追加となりました。
  • ※3ゴーシェ病とニーマンピック病A型については、現在の治療法では知的障害などの神経障害の進行を抑えることができません。
  • ※4クラッベ病については、現在酵素補充療法はありません。定期的に検査を行い、発症早期の造血幹細胞移植が有効とされています。

オプショナルスクリーニングの
検査方法

原則、先天代謝異常等検査(マス・スクリーニング対象疾患の検査)と
同様の方法を行うので、赤ちゃんへの負担はほとんどありません。

採血

生後4~6日目に、かかとからろ紙に採血します。

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検査

採血後、1週間から10日で結果が出ます。

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結果

正常な場合
一か月検診の際に、出生医療機関を通して、結果をお渡しします。

異常が疑われる場合
直ちに連絡します。出生医療機関から電話でお知らせし、
診断・治療のできる医療機関をご紹介します。

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精密検査

結果で異常が疑われた場合、診断、治療機関で病気かどうかを詳しく調べます。

オプショナルスクリーニング Q&A

Q
オプショナルスクリーニングは必ず受けなければなりませんか?
この検査は任意ですが、検査を受けずに後で病気が見つかった場合、適切な時期に適切な治療ができず、赤ちゃんに重い障がいが残る可能性があります。もし、あなたのお子さんが病気を持っていたとしたら、症状が出る前に早く見つけることで、治療の効果を最大限に引き出すことができます。ぜひオプショナルスクリーニングをご検討ください。
Q
検査費用はかかりますか?
オプショナルスクリーニングは有料の検査です。費用については受診されている医療機関にお問い合わせください。
Q
病気の治療費はどうなりますか?
オプショナルスクリーニング検査で調べる病気は、どれも指定難病や小児慢性特定疾病に指定されており、国や地方自治体の医療費助成制度の対象となります。
Q
オプショナルスクリーニング結果はどうやってわかりますか?
病気が疑われたときは、直ちに採血した医療機関を通じてお知らせします。その際に精密検査による診断や治療ができる医療機関をご紹介します。正常の場合は、採血の日から約1ヶ月程度で採血した医療機関に結果を郵送します。
Q
赤ちゃんに病気が疑われた場合はどうすればよいですか?
オプショナルスクリーニング検査の結果から異常が疑われる場合でも、必ず病気であるとは限りません。スクリーニング検査とは「診療」が目的ではなく、疑わしい病気の可能性を確率的に調べる検査であることをご理解ください。
病気が疑われた場合は、該当の病気の診断や治療の経験が豊富な専門医、検査を申し込んだ医療機関、検査実施機関が連携し、精密検査を受けることができる専門医の施設をご紹介します。
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