希少遺伝性疾患のスクリーニング検査は、2種類あります。
アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)は、
希少遺伝性疾患検査を主目的とした衛生検査所です。
新生児に遺伝性疾患の可能性があるかを検査する「スクリーニング検査」には、日本出生の全新生児に、自治体の公費負担により無償で実施される「新生児マススクリーニング」と、新生児マススクリーニング対象外の疾患に関して、希望者を対象にオプションで有償で実施する「拡大新生児スクリーニング」の2種類があります。
このうち、アンジェスがCReARIDから受託しているのは、CReARIDが提供する「拡大新生児スクリーニング」になります。
※スクリーニングとは:第一段階として、大勢の中から疑わしい人をピックアップするため、ふるい分けを行う検査。スクリーニング検査には通常、見逃しが無いよう感度の高い検査法が用いられる。
無償で実施する、「新生児マススクリーニング」とは
新生児の先天性代謝異常等の病気を見つけるための検査。
日本で出生したほぼ全ての新生児に対して、自治体の公費負担で実施。
「新生児マススクリーニング検査」は、「フェニルケトン尿症」という先天性代謝異常症の早期発見を目的に、
米国で始まり、日本では1977年に「新生児マススクリーニング検査」が正式に開始。
当初は2疾患のみだったが、現在は20疾患(+α)を検査対象としている。
※先天性代謝異常
生まれつきの原因により、食べ物に含まれる栄養素の代謝がうまくできなかったり、ホルモンの分泌が多すぎたり少なすぎたりする異常のこと
【新生児マススクリーニングの検査対象となる20疾患】
分類 | 疾患名 |
---|---|
アミノ酸代謝異常症 | ①フェニルケトン尿症 ②メープルシロップ尿症 ③ホモシスチン尿症 ④シトルリン⾎症1型 ⑤アルギニノコハク酸尿症 |
アミノ酸代謝異常症 |
⑥メチルマロン酸⾎症 ⑦プロピオン酸⾎症 ⑧イソ吉草酸⾎症 ⑨メチルクロトニルグリシン⾎症 ⑩ヒドロキシメチルグルタル酸(HMG)⾎症 ⑪複合カルボキシラーゼ⽋損症 ⑫グルタル酸⾎症1型 |
脂肪酸代謝異常症 |
⑬中鎖アシルCoA脱⽔素酵素(MCAD)⽋損症 ⑭極⻑鎖アシルCoA脱⽔素酵素(VLCAD)⽋損症 ⑮三頭酵素(TPF)⽋損症 ⑯カルチニンパルミトイルトランスフェラーゼ-1(CPT1)⽋損症 ⑰カルチニンパルミトイルトランスフェラーゼ-2(CPT2)⽋損症 |
糖質代謝異常症 | ⑱ガラクトース血症 |
内分泌疾患 | ⑲先天性甲状腺機能低下症 ⑳先天性副腎過形成症 |
有償で実施する、「拡大新生児スクリーニング検査」とは
「新生児マススクリーニング検査」の対象外の疾患について、
(有償で)希望者を対象に、希少遺伝性疾患の可能性の有無を調べる検査
※全国一律ではなく、一部の自治体・団体(医療機関等)が実施しており、対象疾患も各地で異なる。
※原則、患者自己負担(一部の自治体では助成金を出している所もある)
【拡大新生児スクリーニングの主な対象疾患】
疾患名 | どんな病気か | 症状 |
---|---|---|
ムコ多糖症Ⅰ型 |
これらは、ライソゾーム病といわれる。 ※ライソゾームは細胞内⼩器官の1つで、体内の⽼廃物を酵素の働きで分解する「⽣体のゴミ処理機」。 |
⾻の変形、中⽿炎、精神運動発達遅滞、神経退⾏、閉塞性呼吸障害、⼼臓弁膜症など |
ムコ多糖症Ⅱ型 | ||
ムコ多糖症ⅣA型 | ||
ムコ多糖症Ⅵ型 | ||
ファブリー病 |
⼩児期: 成⼈してから: |
|
ポンペ病 | 重篤な筋⼒低下 | |
副腎⽩質 ジストロフィー (ALD) |
細胞のなかのペルオキシソームにあるALDタンパク質が先天的にないことが原因で、脳と副腎に異常が起こる進⾏性・遺伝性の疾患。 | 学習障害 ⾏動異常 歩⾏障害 視⼒・聴⼒低下 ⾊素沈着など |
脊髄性筋萎縮症 (SMA) |
筋⾁の動きを調節するための運動神経が障害される遺伝性の病気。 脊髄にある神経細胞が変化または消失してしまうことが原因で、全⾝の運動機能が障害される。 |
筋⼒低下 筋萎縮 歩⾏障害の症状があり、加齢とともに悪化する。 |
重症複合免疫不全症 (SCID) |
免疫不全症(免疫が機能しない病気)のなかで最も重いタイプ。 ⽣まれながらにして⾝体を守る重要な免疫細胞(T細胞)が作られず、出⽣早期から重い感染症に罹患する病気。 |
出⽣早期から肺炎、下痢、中⽿炎、⽪膚感染症など様々な感染症に罹患する |